学生将棋日記(平成11年6月)
6月1日
- 朝日新聞
の「ひと」欄に山田敦幹新朝日アマ名人(
早大H6卒)登場。
- ところで、その日の将棋欄の玉虫氏による観戦記(朝日アマ決勝の第1譜)に、
「中・終盤の時代から序盤の時代へ」とありましたが、
ちょっと行き過ぎた表現というか、なんか違和感が…。
- 確かに序盤は洗練されてきたでしょうが、
結局は終盤が重要なのは今も昔も同じでしょう。これはプロも同じはず。
- というか、将棋というのはそもそも本質的に終盤のウェイトが高いゲームですからね。
6月5日
-
学生名人戦初日。
東大
からは石川(5回生4年)、内藤(4回生2年)、
下山
(3年)、加納(2回生1年)の4人が出場していますが、
前日の抽選で結構固まっている模様。うまくいけば東大対決も結構出そうな感じです。
- さて1回戦、まず石川は長崎大の塩崎氏と。
右四間から攻めるも完全に切らされて終了。
- 内藤は北海道東海大の安達氏と。安達氏は元奨励会、
学名には昨年も出場して久保本に1回戦で敗れています。
- この対局で話題になったのは安達氏が対局中にタバコを吸い出したこと。
確かに部屋自体は禁煙ではないし、
事前に「禁煙です」と言っていたわけでもないんですが…。
アマ大会で対局中に(廊下に出て吸うとかいうのではなく、盤の前で)
タバコを吸う人は初めて見ました。
- 裏では「あれはいいんですかね」などと話題騒然でしたが、
とりあえず今大会では黙認されたようです。まあでも普通は禁煙でしょう。
- なお、将棋の方は内藤が中盤飛車を殺されたものの、粘っているうちに逆転。
しかし内藤も寄せを間違って結局負けでした。
- 下山は福井大の川縁氏と。自然に良くなってそのまま勝ちきったような。
- そして、加納は一昨年の学生準王将、徳島大の生藤氏と。
生藤氏の右玉に対しド作戦負けだったんですが、
ごちゃごちゃやっているうちに長い将棋になって最後は勝ち。強いですな。
- なお、他は特に波乱はなかったようです。
- さて2回戦。下山は石川を破った塩崎氏と。よく覚えてませんが自然に勝ち。
一方、加納は優勝候補の一人、
立命館の鰐渕氏と。
で、必敗になって、あとは寄せられるのを待つだけだったんですが…。
- 鰐渕氏(後手)が6九の龍で加納の6六の金を取ろうとして、
金を駒台に置いたのち龍を6七へ。というわけで鰐渕氏の反則負け。加納、バカヅキですな。
- しかし、鰐渕氏は高校選手権決勝(相手は細川君(現
早稲田))での
▲1三角△2二飛▲同角成まで
(飛車を2一に引くつもりが2二(ただ)に引いてしまい投了)とか、
昨年の王座戦の早稲田戦・片山戦とか3年前の十傑戦本戦1回戦の林戦とか、
とんでもないポカをよく見かけますな。
- なお他では龍谷大
の高野氏が京大
の松尾君に勝っていました。
- というわけで、3回戦は下山−加納の東大対決に。
- 中盤で下山が優勢になりましたが、大事をとっているうちにあやしくなるという展開。
しかし最後は下山が勝って準決勝進出を決めました。
- これで準決勝の組み合わせは天野(大阪市大2)−馬上(
明大3)、
下山−清水上(明大1)ということに。明治の活躍が目立ちます。
- さて、打ち上げはくるくるメンバー+東大勢+龍谷大勢+αで行ったんですが、
店についてみると
そこには明治勢と川合研勢も。うーむ。
- しかし、この飲み会は特に潰れる人もなく平和に終わりました。
ちょっと珍しいですか。
6月6日
-
学生名人戦2日目、かつ
古豪新鋭戦初日。
- 下山
の応援に朝将棋会館に行ってみると…
東大
勢は仕事の菊池しかいませんなあ。うーん。
堀井(来ると言ってたような…)
も結局わたぴんさん(
早稲田OB)、足立(
慶應OB)と三麻のようですし。
- さて、将棋の方は中盤で清水上君が優勢→下山が終盤追い込むも届かず、
で清水上君の勝ち。
- もう一方は中盤は馬上君が優勢だったようですが天野君が終盤で競り勝ち。
- で、下山も負けてしまったので私はここで
理科大(飯田橋)の古新戦の方に顔を出すことにしました。
- それで、3局目に間に合ったので1局だけ出してもらうことに。
居飛車計画の成果を見せる…はずだったんですが、
チームは慶應との全勝対決でメンバーを見るに私が勝たないと危なそうな感じ、
しかも相手は西日本大会で予選通過、
春の関東個人戦でもベスト64の牛山氏相手ということで、ピヨって三間飛車に。
- で、居飛穴模様→急戦向飛車に→穴熊にせず左美濃→こちらは風車に組みかえ、
となって千日手。
- そして、指し直し局は私は再び三間飛車、牛山氏のは玉頭位取り。
この局は、牛山氏の3四の銀の浮き駒とか2四のスペースとかを
うまくとがめることができて会心の指し回しで勝つことができました。
- しかしチームは負け。残念。
- そしてこの後はなんとなく1、2年と飲みに行くことに。さらに私・橋本(2年)・
軽部(2年)・長崎(1年)というメンバーで2次のみ→徹カラ。うーん。
- しかし、徹夜をすると、最初の勢いのあるうちはまだいいんですが、
2時頃になるとやはりだるくなってきて後悔しきりですな。
篠田氏の名言「帰る手に悪手なし」が思い出されたりして。
- ところで、各人のカラオケの選曲は、
長崎君はラルクとかの系統のはやりもの系で普通の若者っぽい感じ。
エース(橋本)は女性ボーカル系。軽部はちょっと前のアニメ系、という感じでした。
- なお、私はほとんどアニメ関連曲しか歌えません。
6月12日
- 今日、明日と東工大で学会です。
- で、会場の近くにあったサークル棟らしきものの前で
「将棋部はこちら」
という感じの看板発見。さすがに踏み込む勇気はありませんでしたが。
(後で聞いたことによると、土日は人はいないらしいです)
6月17日
- なんとなく堀井、東野、
石川、大野さん、伊藤瑞穂さん、私で飲み会。
- そして、伊藤さんが帰った後は徹飲みに。うーむ。
6月19日
- 今日、明日と有楽町の国際フォーラムにて国際将棋フォーラム開催。
- 私はそこで行われた
コンピュータ将棋王者決定戦に手伝いとして行ってきました。
- 朝会場に行ってみると、松田一彦さん、
鈴木知道さん(いずれも東大平成元年卒)がいました。「世界の将棋」担当のようです。
- また、メインイベントの国際将棋トーナメントに日本代表として出場する
(昨年の支部名人のため)林隆弘君(
早稲田H11卒)の姿も。
さすがに大本命ですな。
- あと、伊藤瑞穂さん(育成会員)も棋譜取りの仕事ということで来ていました。
- しかしなんというか立派な会場で、お金がかかっていそうですな。
まあ、本来昨年開催予定だったのが、スポンサーがなかなか集まらず今年に延期になった、
という噂も聞きましたが…。
- さて、コンピュータ将棋王者決定戦の方ですが、
この大会は
コンピュータ将棋選手権(以下「選手権」)
の成績優秀8チームを招待して総当たりリーグを行うというシステム。
同一のマシンで(選手権はマシン自由)、
初手から30秒秒読み(選手権は25分切れ負け)というのが特徴です。
- しかし、マシンを与えられたのが当日朝、
しかも様々なプレインストールソフトが入っている、というのが影響したか、
それともCPUがK6-2だったのが悪かったのか、マシントラブルが続出。
- 開発版は市販版と異なりデリケートですから仕方ないことなんですが…
せめて数日前からマシン貸し出しとか、
OSはインストール直後の状態から、とかはしてほしかったですね。
- 結局、トラブルのため選手権優勝の
金沢将棋は棄権。
永世名人もレベルを落として戦うことになりました。
- さて、結果は
CSA(コンピュータ将棋協会)のホームページや
柿木さん・
山下さん
の自戦記を見ていただくとして、初日は4局目まで終了。
森田将棋
の辞退で急遽出場となった宗銀が大活躍で、
YSS
(商品名AI将棋)、
IS将棋
(商品名東大将棋)、
KCC将棋
(商品名シルバー将棋)、
柿木将棋、
宗銀(商品化はされていない)の5チームが3−1で並ぶという大混戦になりました。
- ところで、昼、スタッフ用の弁当をもらいにいく途中、羽生四冠とすれ違いました。
間近で見たのは初めてですが、なんか普通の好青年という感じでした。
- また、裏では「コンピュータは人間を超えられるか」
というシンポジウムもやっていました。
ただ、王者戦が行われている最中で見に行くことはできませんでしたが。
- ところで、全然関係ない話ですが、
会場で新井田さん(早大OB)を見かけて少し驚きました。
6月20日
- 国際将棋フォーラム2日目。この日は
堀井
や石川をはじめ学生が多数来ていました。
- さて、
コンピュータ将棋王者決定戦の方は、
ラス前で柿木さんが
IS
戦を制してまず最低でも同点優勝決定。そして、
最終戦で柿木将棋が勝つか引き分ければ単独優勝、
負けるとYSS、
そしてISとKCC
の勝った方が同率で優勝に、という展開です。
- そして最終戦、柿木−宗銀戦の大盤解説は勝又五段。
選手権の時もそうでしたが、勝又五段の解説は面白いですな。
- また、YSSは抜け番だったので聞き手にはYSSの作者山下さんが。
こちらも宗銀応援モードでなかなか楽しかったです。
- 結果は最後時間ぎりぎりで(対局開始後90分で引き分けのため)宗銀の勝ち。
熱戦でしたが、内容的にはいまいちでしたか。
- というわけで、結局、柿木将棋とYSSが同点優勝となりました。
- しかし宗銀も、このメンバーだと終盤はちょっと見劣りしますが、
それにもかかわらず勝ち越し(4−3)というのはすごいですな。
終盤が強くなれば優勝争いにも絡めるんじゃないでしょうか。
- なお、ステージの方ではプロの模範対局とかペア将棋トーナメントとかが
行われていて、豪華な将棋まつりという感じでしたが、その催し物の一つ、
握り詰コンテストでの山田康平さん(
京大OB)
の作品には感銘を受けました。即興であれほどのものが作れるとは素晴らしいです。
- それから、解答者として菊田さん(京大OB)がいましたが、
こちらも素晴らしいスピードでした。
- なお、国際将棋トーナメントの方は、
決勝戦でかなり追い込まれたものの林君が勝って世界チャンピオン位獲得となりました。
6月26日
- 今週の土日はアマ竜王戦。今年の
東大
関係者は篠田さん(奈良県代表、平成4年卒)のみですが、
来週に結婚式を控えているということで、活躍が期待されます。
(アマ大会では新婚の人は強い、というような印象があるので)
- 私は予選3局目の頃に会場のホテル浦島に到着。
篠田さんはと見ると、既に連勝で予選を通過していました。
- なお、東大勢では、堀井、
石川、それに鈴木守さん(H6卒)が応援に来ていました。
- さて、篠田さんの本戦1回戦は山梨県代表・高校生の成瀬氏と。横歩取りの将棋で、
勘違いがあったのかかなり不利に。どうしようもないかと思われましたが、
老練な粘りで最後は勝ち。さすがですな。
- ここまでで本日は終了。夜は東大勢+山田敦幹氏(
早大H6卒)
と軽く飲みました。
- ちなみに話題は、他愛もない話(今回の参加者で結婚しているのは何人か)
からリーグ戦についての真面目な話までいろいろと。
- さらにその後、鈴木さんのパソコンから
将棋倶楽部24や
Java将棋
などにうまく接続できないということで、
それを解決するために堀井・石川とともに鈴木守さん邸に泊まることに。
- 学部2年の頃は堀井・立脇・浦田(いずれもH4入学)としょっちゅう鈴木さん邸
(当時4年)に泊まったものですが、
鈴木さん邸に泊まるのはそれ以来で少し懐かしかったです。(場所は違いますが)
- なお、接続の方は
Netscape Communicator 4.6 をインストールしたら特に問題なく動きました。
6月27日
- アマ竜王戦2日目。篠田さんが快進撃で優勝。おめでとうございます。
- 個人的にも、
東大
OBのアマ大会優勝を生で見るのは初めてだったので嬉しかったです。
- なお、
この日は篠田さんがその日のうちに奈良に帰るということで打ち上げはなしでした。
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