学生棋界の手引(団体編・平成9年度秋季版)



A級優勝争いの展開予想

 最近の関東リーグは、基本的に、本命早稲田・対抗東大で、そこに 慶応がどうからんでくるか、という展開である。
 総合力では早稲田がややリードしており、東早慶がつぶしあって (あるいはそれ以外の大学に負けて)勝数勝負という展開になれば 早稲田がかなり有利。そこで、東大・慶応にとってはとにかく勝点を 落とさないことが要求されるであろう。


A級各大学の戦力分析

関東の主要大学の戦力分析です。主要メンバーのところの前の数字は 私見によるランク付け、カッコ内の数字は入学年度です。(敬称略)

東京大学

最近の成績:
平成7年 春季関東リーグ戦 3位(6-1,33-16)(前がチーム成績、後が個人成績)
     秋季関東リーグ戦 優勝(6-1,39-10)
     王座戦      優勝(8-1,51-12)
平成8年 春季関東リーグ戦 2位(6-1,37-12)
     秋季関東リーグ戦 2位(6-1,30-19)
     王座戦      3位(7-2,44-19)
平成9年 春季関東リーグ戦 2位(6-1,38-11)

主要メンバー:
10 久保本晃夫(06)    7 今村 充(07)
10 杉原 徹(06)     6 松本 博文(05)
9 東野 徹男(06)    6 落合 好光(07)
9 堀井 淳之(04)    6 石川 淳浩(07)
7 下山 知徳(09)    5 菊池健太郎(08)

 かつて王座戦5連覇(平成3年〜7年)を達成した東大も、その原動力となった 平成4年入学組が卒業・引退してからは、優勝まであと一歩届かない。
 久保本、東野、そして復活した堀井と上位3枚は(今秋は杉原は不出場) 早大と比べても遜色ないと思うが、松本、落合、石川ら下位陣がやや薄く、 安定感に欠けるのが難点。

早稲田大学

最近の成績:
平成7年 春季関東リーグ戦 優勝(6-1,38-11)
     秋季関東リーグ戦 3位(6-1,34-15)
     王座戦      2位(8-1,47-16)
平成8年 春季関東リーグ戦 優勝(6-1,38-11)
     秋季関東リーグ戦 優勝(6-1,39-10)
     王座戦      優勝(8-1,46-17)
平成9年 春季関東リーグ戦 優勝(7-0,41-8)

主要メンバー:
10 林 隆弘(07)     7 川合 仁(07)
10 細川大市郎(08)    6 片山 正毅(07)
8 古土井 聡(06)    6 安芸 泰宏(06)
8 清水 俊宏(06)    6 鎌田 俊一(07)
8 岡安 玲士(08)    5 阿部 正範(07)

 平成8年春以降、団体戦では今年夏の全国オール学生団体戦以外 全て優勝という黄金時代を誇っている。
 戦力的には、林君、細川君の高校名人2人を筆頭に、中堅の古土井君、清水君、 岡安君も強力。さらに、下位陣も層が厚い上に安定感があり、A級下位校 相手なら平均して6勝できる力を持っている。

慶應義塾大学

最近の成績:
平成7年 春季関東リーグ戦 2位(6-1,36-13)
     秋季関東リーグ戦 2位(6-1,37-12)
平成8年 春季関東リーグ戦 3位(5-2,32-17)
     秋季関東リーグ戦 4位(3-4,26.5-22.5)
平成9年 春季関東リーグ戦 3位(4-3,30-19)

主要メンバー:
10 河原 慶(07)     5 滝澤 康夫(05)
9 関向 邦人(06)    5 古田 龍生(09)
8 高橋 健郎(07)    5 町田 健太(07)
7 北川 直哉(08)    5 高野 卓大(08)
6 任田 有孝(09)    6 網仲 史文(06)

 ここしばらく優勝からは遠ざかっているが、東早慶で3すくみになって 東早のうち慶応に勝った方が優勝、ということが2回に1回くらいは起こるので、 優勝争いのカギを握っているチームであることは間違いない。
 戦力的には、上位、中堅、下位とも東大・早大とくらべてやや安定感に欠け、 東早以外の相手に勝点を落とす可能性も結構ある。しかし、東早との 直接対決においては、普通に勝つ力も十分ある上、メンバーが固定されて いることが多い東早に比べ、慶応は六、七番目の選手をいろいろと入れ換える 戦略をとってくる(慶応にとっていい当たり方を選べる)こともあり、 勝機は十分にあるはず。したがって、下位校に取りこぼしをしなければ 優勝も十分狙えると思う。

その他の大学

注目選手:
7 水井 龍也(明治大、06)  9 鈴木 貴幸(日本大、09)
7 馬上 勇人(明治大、09)  7 大湊  亮(日本大、07)
6 梅林功一郎(明治大、06)  6 乃木  厚(日本大、05)
7 藤原  卓(千葉大、07)  9 埜口 和範(中央大、05)
6 柴田 良教(千葉大、07)  6 栗栖  到(中央大、06)
6 伊藤 陽平(東工大、09)

 東早慶以外には優勝の目はほとんどないが、平成7年頃とくらべれば 差はやや縮まっており、東大や慶大が東早慶以外に勝点を落とす可能性は 十分にある。また、東早慶のうち、それ以外の5校から一番勝数を稼いだところが 優勝することが多いということもあり、リーグ戦初日、2日目の東早慶と それ以外との戦いぶりは、優勝の行方を占う上で非常に重要である。
 また、例年、A級残留争いも白熱したものとなる。個人的に、 上位校にとって嫌な順は日大、明治、中央、千葉、東工というところかと 思うが、残留をかけた直接対決でどういう目が出るかは予想がつかない。


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