学生棋界の手引(団体編・平成10年度春季版)



A級優勝争いの展開予想

 昨年にくらべ、早大の力はやや落ちてはいるが、東大がかなり力を 落としており、相変わらず早稲田が本命であることには変わりない。 また、対抗には東大・慶應ということも相変わらずだが、東大と 慶應では慶應の力の方がやや上回っているかもしれない。
 したがって、東早慶がつぶしあって(あるいはそれ以外の大学に負けて) 勝数勝負という展開になれば早稲田が有利であり、東大・慶應にとってはとにかく勝点を 落とさないことが要求される、ということになるであろう。


A級各大学の戦力分析

関東の主要大学の戦力分析です。主要メンバーのところの前の記号は 私見によるランク付け(S、A、B、C…の順)、カッコ内の数字は入学年度です。 (敬称略)

注:ランク付けは、平成10年5月8日当時の私の印象によるものです。 これ以降の戦績は考慮に入れておりません。

東京大学

最近の成績:
平成8年 春季関東リーグ戦 2位(6-1,37-12)(前がチーム成績、後が個人成績)
     秋季関東リーグ戦 2位(6-1,30-19)
     王座戦      3位(7-2,44-19)
平成9年 春季関東リーグ戦 2位(6-1,38-11)
     秋季関東リーグ戦 2位(6-1,33-16)
     王座戦      優勝(8-1,50-13)

主要メンバー:
S  久保本晃夫(06)    B  内藤 敦海(08)
A+ 今村  充(07)    B  室谷 真一(08)
A  下山 知徳(09)    B− 高橋 伸行(08)
B  石川 淳浩(07)    B− 明連 千尋(09)
B  落合 好光(07)    S  堀井 淳之(04)
B  菊池健太郎(08)    B+ 松本 博文(05)

 昨年の王座戦では堀井の復活という大技で2年ぶりの優勝を果たした 東大だが、堀井が再び引退、杉原・東野も卒業と大幅に戦力が低下し、 特に下位がかなり手薄くなっている。また、上位・下位とも やや安定感に欠けるため、早慶との直接対決までに どれだけ星を落とさずにいけるかが一つの鍵となると思うが…

早稲田大学

最近の成績:
平成8年 春季関東リーグ戦 優勝(6-1,38-11)
     秋季関東リーグ戦 優勝(6-1,39-10)
     王座戦      優勝(8-1,46-17)
平成9年 春季関東リーグ戦 優勝(7-0,41-8)
     秋季関東リーグ戦 優勝(7-0,43-6)
     王座戦      2位(8-1,47.5-15.5)

主要メンバー:
S  林  隆弘(07)    B  阿部 正範(07)
S  細川大市郎(08)    B  田口健一郎(09)
A  岡安 玲士(08)    B  工藤 康彦(10)
A  片山 正毅(07)    B− 力石 恵一(07)
A− 川合  仁(07)    B− 高橋 知寛(09)
A− 田中 大司(08)    A− 安藝 泰宏(06)

 古土井君、清水君と中堅が抜けた早稲田だが、林君、細川君ら 上位陣は健在であり、中堅、下位も層が厚く、相変わらず優勝候補 筆頭であることは間違いない。
 不安材料があるとすれば、新下位陣の安定度がどの程度のものか まだわからないことくらいか。

慶應義塾大学

最近の成績:
平成8年 春季関東リーグ戦 3位(5-2,32-17)
     秋季関東リーグ戦 4位(3-4,26.5-22.5)
平成9年 春季関東リーグ戦 3位(4-3,30-19)
     秋季関東リーグ戦 3位(5-2,31-18)

主要メンバー:
S  河原  慶(07)    B  高野 卓大(08)
A  高橋 健郎(07)    B  町田 健太(07)
A  北川 直哉(08)    B  吉田健太郎(07)
A− 古田 龍生(09)    B  有富 嘉哲(08)
B  任田 有孝(09)    B− 岩本  健(09)

 2枚看板の一人関向君の他、網仲君、滝澤君などが抜けたものの、 東早慶の中では一番ダメージが少ないと思われ、今季は優勝も十分 狙えるはずである。
 特に、慶応のオーダーは独特の工夫されたものであるため、当たり方は 慶応に決定権があることが多い。したがって、相手のオーダーをきっちり 読むことができればさらに有利な戦いができるだろう。

その他の大学

注目選手:
A+ 鈴木 貴幸(日本大、09)   B  平澤 剣吾(千葉大、07)
A  大湊  亮(日本大、07)   B  小林 文樹(千葉大、07)
B  林  浩介(日本大、09)   A+ 馬上 勇人(明治大、09)
A− 藤原  卓(千葉大、07)   B  鎌田 貴一(明治大、08)
B  柴田 良教(千葉大、07)   A− 森川 祐介(埼玉大、08)

 最近、東早慶とそれ以外の力の差はだんだん縮まっていく傾向にあるが、 それでもまだ優勝争いにからむとまではいかないように思う。しかし、 特に日大、千葉大あたりは東早慶に勝つことがあってもおかしくない。
 なお、東早慶にとって嫌な順は、日大、千葉、明治、埼玉、 専修ということになるだろう。特に、日大、千葉大はまず降級の心配は ないので、東早慶との対戦でも思い切ったことができるのではないだろうか。


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